というのもマンションの廊下にその虫さんが墜落しているのを見つけた。夏だなと思って顔を上げたら、雀がいて、僕に驚いたらしくさっと飛んで行った。僕がいなけりゃぁ、彼の虫は食われていたのかもしれない。もしかすると僕はカナブンヒーローになれたのやもしれない。
そんな経緯から、カナブンヒーローなんて話を書こうと思ってカナブンについて調べてみたらシロテンハナムグリ。カナブンは緑か銀色で美しい虫らしいが、シロテンハナムグリはきちゃない色をしている。カナブンは冬を越せなくてどんどん減少している中、シロテンハナムグリは一年中精力絶倫、アスファルトに固められたマンション街だろうが埋立地だろうが果敢に飛び回っているそうな。
損したような気分になった。
しかし、同じ虫だ。それも同じハナムグリ類。別に損なんかしちゃいない。最も、彼を助けるために何の努力もしてないんだから損もクソも無い。さらに言えば、さっき死なずとも今は既に死んでいるかもしれない。
別に、損はしなかった。しかし、カナブンヒーローにはなれなかった。
小さな頃は純正の美しいカナブンを藤棚から取った。カミキリも取れた。かの虫達は踏んでしまうと緑のような青のようなドロリとしていて水銀みたいな光沢有る血を流した。
電灯に集まる汚いシロテンハナムグリの群れを思ったら、やっぱり悲しくも思った。
ま、そんなこんな。
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