平日の午前中の喫茶店にはじいさんたちが集まってサロンみたいなことになっていた。涼しいし、珈琲も美味いし快適だ。僕はじいさんたちみたいな生活を望んでいるのか、なんて今更気付いた。ぼんやりとカミュの異邦人を読んでから暑い中頑張って大学に向かった。
大学では悲惨だ。単位を取れそうな見通しは立たない。レポートのやり方がよく分かってないのだが、レポート点は全体の3割だそうだ。今期は頑張ったはずなんだが、レポートが分からないとどうにもならない。理不尽だなぁと思いつつ、工学部のような離散数学の授業を聞いた。
理不尽だ理不尽だ、異邦人じゃないが、あたしにゃ特に罪も無いはずなのに、単位が取れないの刑を受けている。理不尽だ。そんなことを考えながら喫煙所に向かった。大学の喫煙所はどんどん端に追いやられ、狭くなっていく。しかし、人間は知らない他人とあまり近くにはいたくない。そんなわけで、喫煙所の辺りにてんてんと間隔を置いて人がいる。
自分も適当に間隔を取って煙草をぷかぷかくわえた。ぷかぷか。すー。最近は肺の調子が良く煙草が美味い。しかし、異邦人は面白かったなー、やっぱり文学はしっかり生きた人間を描いて、世間に文句を垂れなくちゃ駄目だよなー、そろそろ戦争と平和を読んでみよーかなー。
煙草が半分くらいまで燃えたところで、何だか納得した。僕が大学で単位を取れないことは別に不条理じゃないのだ。好きなことしかやらないんだから当然だ。文学が好きだから、小説を読むし、書くし、そのことを考える。時々気晴らしに大道芸やギターもする。嫌いなことはやらない。それでは単位が取れるはずもない。
他の人、単位が上手に取れる人はどうだろう。好きなこともするが、嫌いなこともする。ただ、好きなことには僕ほどはのめり込めないこともある。大道芸だって僕は上達が早かった。好きになると一日中そのことばかり考えている。彼らは加減を知っている。もしくは、どちらもしっかり手を抜かずやれる。
僕はこれまで遊び続けていた、好きなことばかりやり続けていたのか、と反省しつつ、一生直らないクセだろうな、はてどうやって生きていくかな、何かしら生きる方法はあるだろうが、難しいかもしれないな、とちょっとした絶望が混じったような考えに耽った。
こりゃ、いよいよ卒業は難しそうだ。
だけども、嫌いなもののために心をすり減らし要領良く生きるよりは、好きなことのために苦労し損な生活をするのも悪くないと思う。
そうは言っても憂鬱ではある。
大学を卒業するには性格の改造が必要だ。だが、そんなものはこの年齢になっては難しい。
何か裏技を考えねば。大学を卒業するための裏技か、卒業できずとも何とか絶望しないための裏技を。
とりあえずは大学を卒業するために出来うる限りの努力をしよ。
いや、とりあえずは煙草を吸おう。煙草を吸っていれば、とりあえずは僕の心は平和だ。
ま、そんなこんな。
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