2017年02月26日

マウンとアンドレ。

アフリカはボツワナ、マウンにいる。
アンドレなるアメリカ人がいて、朝に一本、昼過ぎに一本、日暮れに一本とガンジャを巻く。
彼は非常にナイスガイで、ガンジャに誘ってもくれるし、ビールなんかくれる。もちろん、断ったって嫌そうになどしない。
ドレッドを編んだ黒人で、イケメンで、優しい男だ。

「アンドレは旅が終わったらどうするの?アメリカに帰るの?」
「どうかな、決めてないな、お前はどうするんだ?戻ったら働くのか?」
「そうだね、お金がないからね、また働いて貯めないと」
「そうだな、金は何をするにも必要だからな、どこか行くにも飯を食うにも。おれは次はヨーロッパに行きたいな、ドイツで働いている友達がいる。ロサンゼルスはクレイジーな町だからあまり戻りたくないな。ゆくゆくは熱すぎす寒すぎない快適なビーチに近い土地でバーでも開きたいな」

宿の隣を流れる川は大河などと言うほどの川幅でもないが、大雨がふれば簡単に溢れてしまいそうだ。川岸に防波堤などもない。
それでも、川沿いにはいくつか宿がある。サファリ、世界最大の内陸の三角州、塩湖と素晴らしい観光資源に囲まれたリッチだ。さらにはボツワナにはダイヤモンドや銅もある。
マウンの町は大都市というわけではないが、観光客も訪れるし、貧しい町ではない。先進的なショッピングセンターもある。
そのいくつかの観光客向けの宿の中でも、小ぢんまりとしているのがMotsebe backpackersだ。
ボツワナ防衛軍の基地の近くにあり、キッチンのリビングのある母屋に、いくつかミリタリーからの払下げらしいテントがあり、それが客室である。
プールはあるが、水は循環させていないし、あまり清潔には見えない。
立地も分かりにくい。
未舗装の路地の奥にある。

アンドレは何もしない。
僕も何もしない。
サファリなど興味がない。象の群れなんか写真でも撮りたい気もするけれど、まあ、そんなのはプロの写真家に任せておけば良い。Googleで象、大群とでも画像検索すれば良い。
それよりは僕は日本で気の合う女の子と二人で動物園のくたびれた象でも眺めたい。折の中でくたびれている。ボツワナの路上に現れる象のように僕を見付けて突然機敏な動きなど起こさない。退屈しきっている象。
まあ、道路で野生の象に何回も遭遇しているからってのもあるだろうが。
そう、神戸の王子動物園か須磨水族館なんか行きたい。幼い頃以来行っていない。

アンドレはぼんやりとノートパソコンをいじって、あとはビールと煙草とガンジャで一日を過ごす。
彼はとても居心地の良い人間だ。
僕の行動を見てよく微笑みかけてくれる。やたらめったら一人でご飯を作って食べていたり、ヨーグルトを3つ食べたり。

だが、38歳。
ぶらぶらしている。
まあ、ロクデモナイ人間ではある。
旅行者の鏡とは、到着したらせっせとツアーをブッキングして、2つばかりツアーを済ませたら次の町へと飛行機で飛ぶ、そんなのだろう。
「何しに旅行しに来てるの?ガンジャやって、ビール飲んで、ぼんやりしてじゃもったいないじゃないの」
でも、別に観光しなくたって、何かを見なくたって、自宅で出来るのと変わらないことをしていたって、やっぱり旅行とは旅行なのだ。
普段の場所を離れて、時間を過ごしたい。
自分の素性など誰も知りはしない。
誰かから厄介な連絡もない。
その中で、何もせず特に宿から出ることもなくぼんやり過ごす。
それもまた旅行だろう。

宿は、たいていに不機嫌そうにしているおばさんが二人と、気の良い若い青年二人が働いている。おばさんが掃除洗濯なんかをして、若者二人は食事を作ったり、予約の電話やメールなんかを受けているらしい。家族なのだろうか。
まあ、絶対に一人で全て出来る程度の仕事内容だ。なので、大抵四人とも暇そうにしている。一緒に昼からビールを飲む。売り物だろう。或いは宿泊客のをねだったり。
食事も突然にくれる。スタッフの分を作るついででくれるのだ。不意に全員の分の材料代をねだってきたりする。彼はなかなかに料理が上手い。

川には時にはカバもいるそうだが、僕もアンドレも興味はない。近くに散歩するような場所もない。

だけれど、ある意味、旅の真髄かもしれない。
アンドレってのはそういうのを感じさせてくれる男だ。
もう何泊かしても良いなと思いつつ。明日の朝の天気次第かな。

まあ、そんなこんな。
posted by ちょろり at 00:55| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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