2017年02月26日

マウンで完全にやる気をなくす。

やる気が全く起きないので、マウン滞在を、ああ、こりゃ、ワンモアナイトだな、と伸ばすことに決めた。
体調が悪くもなく、用事があるわけでもなく、近くに散歩に良い場所があるわけでもなく。完全に宿に引きこもっているだけで4泊するなんて初めてだろう。3泊は結構するときにはする。一日じゃ足の疲れが抜け切らないってことはある。

日程には余裕はある。チパタ〜ルサカをバスで千キロ弱ワープしたとは言えど、下痢で休んだ時間を合わせて考えると、今回のルートは思ったより短かったらしい。
きちんと計算はしていないが、タンザニアで二千、マラウィで七百、ザンビアが五百、ボツワナが今までのところで六百ほど、残りナミビアまでが800で、オマケの砂漠編が600ほど。
トータルで五千ちょっと。三ヶ月だし六千まではやはり行けるか。一応、マラリアなんかの安静期間の必要な病気にかかった時の為に余裕は作ったのだが。

まあ、アフリカは滞在してのんびり過ごすようなタイプの町がないので、距離は意外と伸びたのだろう。
日程的にはケープタウンまで行けたのかもしれない。

自転車のやる気だけが出ないのではない。そんなのは町で休めば治る。
自転車をこぐやる気はもちろん、旅行を続けるやる気も、日本に帰って何かするというやる気もなくなっている。
何かが全てバカバカしく崩壊してしまったような。

別に落ち込んでいるとかいうわけではない。
単に全てのやる気がないだけだ。

山小屋に戻るのも、自転車関係の仕事に戻るのも、ペンキ屋も、かと言ってぶらぶらと放浪するのさえも、何もかもやる気が起きないのだ。
強いて言えば、牛丼屋に行きたいくらいか。好きな女の子と動物園に行きたいくらいか。檻の中の象を眺めたい。何の危機感もない、緊張感のない、それでいて生きた象。

その中で幼い頃に行った王子動物園などに強烈に行きたいと感じた。
神戸といえば、三宮のカレー屋に行きたい。場所はもう分からぬ。幼少の頃行ったわけではない。自転車屋の出張研修で一泊した時に、晩御飯で何となく入った。魔王なんかの良い焼酎が安く飲めた覚えがある。またそのカレーが焼酎との相性が抜群に美味しかった。
そこで焼酎が飲みたいと思わせる店ってのは珍しい。
ウイスキーなら好きなバー、日本酒なら魚が美味いけれど値段的にはそれなりに手頃な居酒屋。魚が美味くないところは駄目だ。もちろん、そんなに肥えた下はもっていないが、チェーンの居酒屋みたいなのは駄目だ、ビニールにパックされてカチコチに凍ったようなのは。もしかすると、個人の美味しい居酒屋も存外、そんな魚なのかもしれないが、せめてそういうのを感じさせないように飲ませてくれるところ。
石川の小さな町の商店街の寿司屋は美味かった。

ただ、相手はどうする?
好きな女の子を誘っていくか。
いや、のんびり一人でやりたいか。
気心知れて、現在も何か話す話題のある友人か。昔話とかじゃなく、これからのことだとか、今のことだとか、気を張らずに社交的などうでも良い世間話などじゃなく。何かを切実に話したい。

何かを切実に話す?
何を?
そんな話題があるのか?
誰と?

まあ、確かにそのまま話してみたって良いのかもしれない、僕は何かを誰かと切実に話したいのだ、と。

雨季の夜は空がよく雷で光る。雲がランプシェードみたいな具合で綺麗だ。
それでも、あまり夜空は見ていない。
「アフリカは夜空が綺麗なんだぜ」
などと話すような思い出はマラウィの湖岸くらいか。マラウィ湖は改めて考えると本当に素晴らしかった。あの国は自転車で走るには完璧なまでに良い。あの湖は綺麗で、意外と飽きることがなかった。
まあ、もう行くことはなかろう、あそこは貧乏過ぎていろんなことが大変過ぎる。具体的に何が大変かと聞かれると答えに困るが、大変なのだ。食べ物には困っていなくとも貧乏なんてのは、生で見てみないと分からない。
その点、ボツワナは農業なんかはあまりしてなさそうだが、どうやって庶民は食っているのだろうか。

この体験を活かして何かするか。
何だかそれは急に馬鹿馬鹿しいことのように思えてくる。
苦労はした、努力もした、満足もしている。
ただ、それだけのことだ。
ただ、通り過ぎていっただけのことで、何かが手に入ったとかそういうわけではないし、そういうことを求めてもいなかった。
何かが欲しければ買うのが良い。きっとこの旅の予算なら中古車だって買えただろう。車ならエクストレイルかロードスターかミニクーパーが欲しい。エクストレイルなら自転車を積んだりも楽だろう。ロードスター、ミニクーパーは走っていて楽しいだろう。
それで通勤するのだ。
毎日の同じ道を同じ時間に。その稼ぎの中からローンも返していけば良い。
究極的に言えば、仕事など何をしたってさほど大差ないのだ。はっきり言って、上司と同僚次第だ。それさえ良ければ、さほど会社に行くのも嫌ではなかろう。
そこそこ妻とも愛はあって、時々はデートにも出掛ける。

そういうのだって、アフリカの経験を活かした生き方だ。アフリカを走って、どこか一つ人生に納得したところがあるのかもしれない。
僕が生の体で生の目で見ておきたかったものを見た。他に行きたいところだってないこともないけれど、アフリカ、パタゴニア、僕が何かを納得するためには十分な体験だったのかもしれない。

何かに納得するってのは、何とも説明が難しい。
別に飽きたとかとはまた違う。
いや、飽きたってのもいくらかはあるだろう。特にまだ帰国もしていないし、働いてもいない。海外ってのは働き始めて時間がなくなると、ああ、行きたいな、なんて感じるものだろう。
そして、旅して二ヶ月くらいってちょうど気分的にくたびれる頃でもある。これよりもうしばらく期間が経てば治って、またやる気も出て来るらしいが。
何にせよ、飽きたってのとはまた別として、何となく納得してしまっている。

変な話だが、
「あ、オレの人生ってこんなもんかな」
みたいに思う。
全力を尽くしてやったことだけど、通り過ぎてしまえば、やはりただの過去になる。
すごいすごいとは言われても、実際はさほどすごいことでもなかったりする。
本気で真面目にアフリカに行きたいと考えれば、割と誰だって旅費と期間くらいは作れるのだ。
家族があったりすれば、そりゃ大変だろうが。

何かに納得するは、退きどころを悟った、なんかともやはり違う。
別に退くつもりはない。
好きな女の子と暮らすためにサラリーマンなんかになる可能性もあろうが、別にそれは退くとは違う。

でも、確かに何となく無理をしなくても良くなるってことかもしれない。
ある程度やりたいことはやったし、あとはカッコつけず、無理せず生きたって、もう十分だろうと思える程度には遊んだわけだ。
カッコなんか気にせず、西成でホームレスしたけりゃしたって良かろう。何の仕事をするにしても、無理してあれこれ体裁を整えたり無理をしなくたって。
自分ってこんなもんだろう、ってのが分かったのかもしれない。カッコを付けずとも、自分ってこんなもんだから、まあ、分かる人には分かるだろうし、分からない人に無理して理解してもらう必要はない。どうせ蓋を開けたって、まあ、こんな人間だ。
別に悪い意味じゃなくて、自信みたいなものもいくらかはあるのだろう。どう見られようと、別段恥ずかしい生き方はしていないから、無理にカッコつけたりしなくて良いんだ、と。別に何をしたって、オレはオレなのだ。
バーでも開いてみたけりゃ開いてみたって良い。だらだら酒飲んで。かっこいいとかそんなのじゃなくて、やりたければやれば良い。
あまり深い心配や周到な計画なんかしないで、何となくやってみたいことをしてみりゃ良い。

ただ、何となく、いろんなことが面倒くさいのだ。

「またアフリカに行きたいと思うか?」
どうかな、僕の場合は今のところNOかな。
まあ、アフリカ、面白いし、いろいろ気楽で良い。
刺激も多い。
だけど、また来たいかと言えばNOかな。
そりゃ、タダで仕事もやめなくて良いとかならどこだって何回でも行きたい。
海外旅行なんて体験自体がすごいわけじゃない。
海外旅行に行くための準備、情熱、そういうのが凄いのだ。
短期間だが仕事も辞めずお金もあげるから、と言われると、まあ、僕なら海外なんか行かずにMacBookでも買うかな。
やはりあくまでのんびりチャリをこぎに来ているだけなのだ。短期でサファリと世界遺産を眺めに行くだけなら、迷わずMacBookかな。
それにアフリカって、時間キッチリで詰めると面白くないと思う。ダラダラ過ごす。現地のやつと全く無意味な話したり。単にスーパー行って食材買って帰ってきたり。
ちなみに海外でスーパーに行くってすごく楽しい。この野菜あるんだ、この調味料使ってみたいなとか。あの料理やってみようかなとか。
ちなみに最近は天ぷらをやりたい欲求が止まらない。まあ、油ものは、さすがに使用後の油の処理だとか洗い物やらキッチン周りに油がはねたりと旅先では面倒だからやらないけど、天ぷらが食べたい。さつまいも、しいたけ、ピーマン、出来ればエビ。何ならカツ丼とか作りたい気もするが、カツ丼はあれこれ必要なものも増えるし、流石に面倒くさい。天ぷらなら卵と小麦粉くらいだ。
でも、串かつなんか食べたい。

なんだかいろんなことが馬鹿げているような気がする。
日本で真面目に働いているのも、世界の中の小さな国の常識のメインロードを歩くためにあくせくしてるみたいで馬鹿げてるような気がするし。
かと言って、仙人みたいにぶらぶらしているのも。

freedom is not free.
自由ってのは暇じゃない。

そう、自由って大変だ。頭を使わないといけない。
何も決まっていないから、何をするか考えないと。
あれこれやらないといけないことがあるって、ある意味では、それさえやっとけば良いわけだから、それ以外は暇なのだ。

マウンの町とはヒマだ。
まず、宿が中心地から遠い。スーパーまで遠い。
ザンビアのリビングストンなんかはスーパーも近くて、バス停周りにさほど治安にも気を使わなくて良さそうな気軽に散歩できるマーケットもあったし、途中にアイスクリーム屋なんかもあった。まあ、アフリカのマーケットって古着だとか、文房具、野菜、鍵や工具みたいな普通の日用品しかないので大した暇つぶしにもならないし、基本的に何かにおうから毎日出掛けて行くようなものでもないんだけど。
土産物も伝統的なお面とか、象やキリンの木の置き物とか、どうすれば良いんだみたいなものしか売っていない。飯もウガリと肉ばかりでバリエーションがない。
その点、アジアなんかハンドメイドの小物とか眺めていて楽しそうだし、ご飯も面白そうだ。
アフリカは旅行者の娯楽みたいなものは本当に少ない。いや、サファリツアーなんかは多いけれど。散歩して町並みを楽しんで、見付けた飯屋に入ってみるとかそういう娯楽はあまりない。
基本的にはサファリツアーを楽しむくらいで、あとは現地人を眺めて話したり交流してみて、なるほどアフリカと味わうみたいなのがアフリカだろう。

マウンはそんなアフリカの中でも絵に描いたような退屈な町だ。いろんなツアーがあって、ショッピングセンターはあるし、国際空港だってあるけど。
スーパーで缶詰買って、
「缶切り欲しいんだけどどこに置いてる?」
と聞くと、少し探して、
「缶切りは売り切れてるわね」
なんて。
そんなに缶切りが売れるわけないだろ、って。
まあ、マウンってそんなところ。

逆に言うとそんな町が今の気分にはちょうど良いのかもしれない。
何とも言えないやる気のなさ。

そんなこんな。
posted by ちょろり at 05:59| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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