2017年03月05日

先進国の安心感と言い値の人間味。

自転車の日々の詳しい話はじてぼんをよろしく。
http://jitenshatohon.seesaa.net/

ナミビアに入ってから先進国って良いなーとしみじみ思っている。正確にはナミビアは準先進国だが、タンザニア、マラウィとThe途上国から、ザンビアからスーパーが増え、ボツワナは都市部に限らず村でも、衛生観念がかなりしっかりしてきて、そこからのナミビア、完全なる先進国と感じさせられるわけだ。

物価は安くない。日本より少し安いくらいの感覚だろうか。宿なんかは安くても三千円ほどとのことで相変わらずナミビアもオールキャンプだろう。かれこれ半月以上キャンプ続きだな。

しかし、キャンプサイトが非常にクオリティが高い。清潔なのはもちろん、全て良い。これで千円なら喜んで毎日キャンプだ。
まあ、ボツワナもキャンプサイトはすごく良かったんだけど。
ナミビアの安心感はすごい。

ーーー

先進国の安心感とは何かと言えば、まず衛生面と、金さえあれば物が手に入ることと、プライスとクオリティーのバランスの安心じゃないかなと思う。
「何それ?なんでそれがこの値段でこっちがこの値段なわけ?」
そういうことが減る。
いくらか払えば、それなりのことが手に入る。
キャンプサイトに千円払えば、セキュリティもいるし、芝は整えられているし、水も安全だ。Wi-Fiも日本並みに飛んでくれることが多い。
数年前の情報ではWi-Fiは有料が多いとのことだったが、今は無料でサクサクのほうが普通になりつつあるようだ。

もちろん、手放しで全てを信じ切るのは危険だが。
妥当なお金で買える妥当な安心ってのは本当にありがたい。

ーーー

衛生面については本当に助かる。別段、綺麗好きというわけではないけれど、どこでもかしこでも家畜の糞が落ちているのは嫌だ。
ハエがぶんぶん飛んでいたり。
悪臭も嫌だ。
我慢すれば我慢できるし、慣れれば慣れるとは言えど、やはりいざ先進国に入ると、清潔って良いなぁとしみじみ思う。

ーーー

プライスとクオリティのバランスってのは、要は資本主義経済が回っているかどうかだと思う。

例えばミネラルウォーターだ。
マラウィの村なんかではもはや売ってすらいない。
売っていても値段もまちまちだ。
ただ、マラウィにもスーパーはあり、そこでは値段は統一されている。

売り手がある程度いて、買い手もいくらかいると、経済競争が起きて、値段が妥当なところで安定する。
安くしすぎれば品質が維持できなくなるし、高ければ別の店に負けてしまう。

買い手が少なければ、売り手も商売にならないので増えない。
売り手が少なければ、値段は言い値になってしまう。

旅人の間では、途上国では値切れるだけ値切らないといけないとは言うが、まさにそんな背景があるし、僕は値切るのが嫌いなので、毎回値段が変わるのを、ふーん、と思いながら納得することになる。
もう、そういうのは、しゃーないからね。
彼等の暮らしが人間として貧しいなんてのは思わないけれど、金銭的には苦しいっていうのは分かるし、僕にとっては些細な金額差でも彼等にはありがたいとまでは言わずとも、やはり欲しいお金なのだろう。

煙草なんかでも平気で三倍くらいの値段を言ってきたりすることもある。さすがにそういう時は嘘付くなと言うけれど。

ーーー

日本なんかでも、正直、こいつは乞食か、と思うほどケチなやつがいる。
そんなカスみたいな値段をケチるためのカロリーの消費や、人からあの人はケチねとレッテル貼られることを考えれば、本当アホかと思う。

僕なんかはお金に関してはテキトーな人間で、もちろん決して太っ腹ではないし、器がでかいとかいうわけでもないので、
「あ、金欠だ、やばい、ケチろう」
くらいはよく思うけれど、たいていのことは、
「まあ、数回飲みに出ればなくなる金だし良かろうて」
みたいなテキトーさ加減だ。

それで、国境の両替も毎回、
「明らかに損したなー」
などと思いながら、
「まあ、たかが千円ちょっとくらいの話だし、手間無く手渡しでお金が手に入ったし、どうでも良いか」
なんてことになる。
今回の旅で四回国境を越えて、恐らくトータル五千円以上損してると思う。

そう言いながら宿はケチってキャンプなのだが。

まあ、キャンプについては、ケチってるのはもちろんだが、それよりも得体の知れないベッドより、自前のマットと空間の方が安心出来るし安いからというのもある。

飯は美味いもののためならいくらか出したって良いけれど、宿はどうせ寝て起きるだけなのだ。
温泉なんかあれば話は別だが。

ーーー

そんなわけで、僕はあまり、
「あいつケチだなー」
とは思われないが、
「あいつ、本当、いつも貧乏だなー」
ってのは思われていると思う。

ケチと貧乏は違う。

むしろ、いくらかケチじゃないと金持ちにはなれない。
貧乏人はだいたいにケチじゃない。金もないクセに、やたらと人に酒をおごったりしたがる。
そして、本当の金持ちはピンポイントで金を使う。
おごるにしても、あげるではなく買っている。おごった相手から必要な信頼や恩、その人の能力や将来性なんかを買っているのだ。

ーーー

どんどん金がどうこうの話に流れたが、先進国の安心の話だ。

安心はするし、やっぱり先進国は良いなーとは思うが、ハッキリ言って先進国は嫌いだ。
恩恵だけ喜んどいて、嫌いとはなんだって話だが。

値段なんか売り手の言い値くらいがいろいろとちょうど良いのだ。
「さっきと言ってることが真逆じゃないか」
と思うだろうし、実際そうなのだが。

言い値の方が人間味があるし、いかんせん我々は人間なのだ。

手塚治虫のブラックジャック先生が正に好例で、べらぼうな高い金を取ると人々に噂されるが、相手に応じて決める。
世の中には百万円が高いと感じる人と安いと感じる人がいる。

ブラックジャック先生は、相手が良い人間だと思ったからと言って、その人にとって安い金額にしてあげるということはない。まあ、たまにそういうのもあるけれど、基本的にはその人にとってはそれなりの金額を要求する。
百万円が高いと感じる人には百万円だし、一億じゃあまりに高すぎでどうにもならないという人にはそこまでは要求していない。
何とか無理すればそのくらいは払えるだろうという金額だし、命は安くないということを徹底している。

そういう点、言い値の世界というのは何かと都合が良いのだ。
金持ちの観光客には高く言う。
いつも馴染みの村のやつにはいつもの値段か、あるいは金持ちの外人から儲けたからこれで飲みに行こうぜとむしろおごる、そのくらいでちょうど良いのだ。
気に入らないやつからは多く取ったって良かろうし、取れるところからは取るってのは一向に問題ないと思う。

その点、かっちりといろんなことが決まった先進国は人間味がない。
医者が言い値で診察したら違法だ。

それこそ自転車屋での値切りにしたって、
「なんでオレの倍以上稼ぐやつに、オレは値引きしてやらないといけないんだ」
なんて機材オタクで値引きかたなんかも詳しい金持ちには思うことは多かった。
むしろ、そんなやつは多く払って、目を輝かせてロードバイク乗ってみたいという子どもなんか安く売ってあげれば良いのに、と。

ただ、資本がしっかり回る先進国では人間味よりも、多く買ってくれるお得意様にこそ値引きしてあげないといけない。
初心者に優しくしたって大して金にならない。

まあ、長い目で見れば初心者は売上の可能性を大きく持っているのだが。

ーーー

まあ、何にせよ言い値の方がやはり世界はいろいろ都合が良い。
飲み屋にしたって、周りの気分を悪くするようなやつからは高く取りたいし、常連で他の客も良い気分になれるような人は安くしてあげたい。
ただ、言い値じゃなく値段は決まっている世界では、そういうことをすると何かと問題になる。オレも安くしろだの、あれこれ文句を垂れるやつが出てくる。
大きなお世話である。
売り手と買い手の間で人間としての同意があっての言い値なんだから、そんなもんは他人が文句を言えるものでもない。

ーーー

まあ、そうは言うものの、やはりいざ途上国から先進国に入ると、楽なのである。
物価は上がれど、欲しいものが手に入る。
最低限の常識みたいなものが共有されている。

二泊分の金を払ったのに、二日目に宿に戻ると自分のものが捨てられて掃除されていて、
「チェックアウトしたと思ったのよ、ごめんね」
なんていうクレイジーなことは起きない。ダルエスサラームで一度そんなことがあったのだ。
こちらとしては、外出時には鍵を預けろと言うのでそれに従っただけだし、二泊分の金を払えば、二晩はその部屋は自分のために置いてもらわないといけないし、ましてや部屋に勝手に入って物まで捨てているなんて馬鹿なことが起きるわけがないというのが常識だ。
「お前はアホか!」
と言ってみたって、向こうにはそれは常識ではない。
誰が何泊分払って、どの部屋はいつまでどの人が使うかなどロクに書き留めていないし、確認もしない。入る時に金をいくらか受け取り、鍵を返されればチェックアウト、朝の決まった時間に掃除出来る部屋は掃除しないと叱られるので掃除する、それが常識なのだ。

モシの町で日本人のオーナーが女性従業員に、
「お客さんに送る文面は友達に送る文とは違うんだよ。スワヒリでも英語でも良いから新聞を読みなさい。そしたら、友達に送る文と違う文の書き方なんかも分かるようになるから」
と教えていたのにしても、我々日本人としては常識のことでも、彼等には常識じゃなく、ビジネスをする上ではそれを教えていかないといけないわけだ。

常識のズレはとにかく面倒くさい。
口頭でいかに確認しても駄目なものは駄目だ。紙に書かせたって駄目な物は駄目だ。慣れれば、ああ、やっぱり予想通り駄目だったねで済むし、駄目になるだろうという予測のもと動けるので良いのだが。まあ、何かと面倒くさい。

ーーー

先進国の安心感ってのは、本当に大きい。ありがたい。
ただ、旅の味みたいなものも薄れてしまったというのも事実ではある。
安心感だけで言えば旅などせず、日々慣れ親しんだ中で普通に働いて生きているのが一番なんだから。

ま、そんなこんな。
posted by ちょろり at 07:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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