2013年06月04日

写真にならない景色を

13703554961780.jpg帰り道は、少し遠回りをして富士山の方を。
箱根から御殿場、山中湖と。

写真は水源の村、道志の川。

伊豆半島もアップダウンがある上に、富士山方面の山は言わずもがな。
結構、きついルートになった。

伊豆半島の美しい海から、箱根の登り。
登りの最後はトンネルをくぐって御殿場に抜ける。
御殿場に抜けた途端、富士がドンと構えている。

先日、行ったときも書いたけれど。
富士があれだけありがたく思えるのは、自転車だけだと思う。
富士が大きくドンと見えるところまで自転車で行くって、結構、半端じゃなくしんどいのだ。
傾斜こそ、さほどきつくはないが、とにかく長い坂を登り続けないと、ドンと来るでかい富士には辿り着けない。本当にキツいんだ。
遠目に見る小さな富士とは、もう全くの別物だ。

ちょうど良いところに温泉があって入ってみた。
湯船につかりながら富士を眺めてやろう。
銭湯の絵じゃないぞ。生の富士だぞ。

それで、湯に入ったら、急に富士はありふれた写真なんかでよく見る富士山になっていってしまった。
ポップな味気ない温泉だったってのも良くなかったのかもしれないけれど。

結局、チャリの良いところってのは、そういうところだ。
写真には写らない美しさを感じれるんだ。

僕がアルゼンチンで最も美しいと思ったものは、空だった。
南半球特有の強い太陽に雲が光る。また、雲が不思議なまでに近くて、空は地平線の限り広い。夜には月が上る。
僕はその空の下で眠っては、自転車をこぎ、米をたいた。
写真にすれば、単なるきれいな地平線にしかならない。

そういえば、今回の良かったポイントは昨夜、すこぶる強い光を放つ灯台があったこと。
本当に何かが爆発してるかのような鋭い光をチカチカ発していた。
僕のテントを張ったところには、街灯なんか当然なく、真っ暗な簡単な登山道みたいな階段をのぼったところで。
あんなに強く光る灯台を僕は初めて見た。

近所の人間なら、車でぶらりと走っていれば、見える灯台のあかりだろう。
それでも、あれほど強く光っていると感じられる人間は、夜の暗い海に浮かぶ船の上の人間と、チャリであてもなく走ってきて、真っ暗な中野宿していた僕だけだったろう。

箱根の山は昔、初めてしたチャリ旅での最終日の道だった。岡山から東京。あの頃の僕には、大変な冒険だった。
実際、あの頃の自分は立派だなあと思う。
アルゼンチンと同じくらい。
自分にできるか分からないこと、したことのないことをした。
1号線と2号線に関しては、今でも走ると、あの頃見た景色だなってちゃんと覚えている。
まあ、走ったルートの景色はだいたいはちゃんと覚えてるんだけど。もちろん、忘れてるところもあるけど。

写真には写らない景色を僕はいくつも見てきたんだなあ、って、最近しみじみ思う。

僕は、旅をしても、本当に牛丼ばかり食べていて、名物なんか滅多に食わない。
本当に腹が減っているし、金もそんなに持ってないからだ。
土産も買わない。
写真も昔は本当に一枚も撮らなかった。
鹿児島に行ったときの写真なんかは一枚もない。(最近、フリーペーパー書くのに、結構欲しいんだけど)

文ってのは、そういうところ素敵だ。
写真にならない景色を表現できる。
プラスに写真が一枚とかあるとなお良い。
映像にまでしてしまうと、写真にならない美しさが損なわれてしまう。無駄な情報が多すぎる。

写真にならない景色ってのは、絵の問題じゃない。
外堀だ。
前後に何があったか。枠の外がどうなっているのか。

絵を介さずに、だれかの脳みそに景色を与えることができるのは、言葉だけなのだ。
そして、しゃべりと違って、文章という、言うなれば固定された言葉っていうのは、人間の脳みそを自由に走れるのだ。

写真を加えるか、映像を加えるか、音声、音楽を加えるか。
これは、作り手がどれだけの自由度を伝えたいかによって変わる。
詩なんかは、まさに自由度が高い。
小説も、それなりの自由度。
雑誌なんかの記事は、自由度はいくらか落ちる代わりに事実を。
映像は限りなく確定されている。

スーパーカブと一眼レフも欲しい。
写真にならない景色を、どれだけ集めて、記事にできるかってのをしばらくやってみたい。

ルート案内じゃなくて。
小説でもなくて。

ま、そんなこんな。
posted by ちょろり at 23:19| Comment(0) | チャリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月25日

自転車屋でできる遊びについて考えていこう

昨日は久々にロングライド。
高崎までの往復で200キロ弱。

最近、ロングライドが不足していたせいか、まさかの筋肉痛。ほとんど坂のない200キロごときで筋肉痛は少々切ない。
一人ブルベライダーを目指す身としては情けない。

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最近は無駄にエアロフォームの研究にいそしんでいる。
独走で長い距離、長時間走る場合、空気抵抗を減らすのは結構大事だ。塵も積もれば山となるってやつだ。

エアロフォームってのは。
要は超前傾。前で手を組む。
DHポジションってやつだ。
もちろん、DHバーがないし、サドルのセッティングもノーマルだから、本当のDHポジションとは言えないけれど。

空気抵抗を減らすポイントは。
前傾にして前から見たときの面積(前方投影面積なんて言ったりする)を減らすこと。
前で手を組んで、腰にぶつかる空気を切り裂くこと。空気抵抗の大半が腰にぶつかる空気だって言われている。

ただ、問題は、そのフォームによるデメリットとのバランスになる。

正しいDHポジションは、前傾のためにサドルを前に出して、高さを上げる。
BB(ペダルの軸)、サドル、ハンドルの三角形の辺の長さは原則、変わってはいけない。
サドルが前上に来れば、BBの位置は変わらないから、ハンドルが落ちる。前には出さない。その分、DHバーがにょっきり前に出る。
三角形が前傾方向に、少し回転するってことだ。

ただ、そのポジションだと、使う筋肉が足の表側になる。
競輪なんかもそういうポジションだ。
これは、長距離には向かない。
あんまり調子に乗って、前傾ばかりしていると、足に来る。

さらに腹筋、背筋への負担も大きい。

ロングディスタンスのトライアスロンなんかでも、DHポジションを使うんだけれど、きつくないのかな、って毎回疑問ではある。
トライアスロンでは、ランのために足を残すっていう都合もあるらしいんだけれど、ランはさっぱり分からないから、分からない。

さらに、ハンドルさばきが不安定になる。
ブレーキをとっさに握れない。

DHポジションが使えるのは、本当に限られたシチュエーションだ。
緩い長い信号のない下り坂だとか、路肩の広いバイパスとか。

言うなれば、速く走るためじゃなくて、高速を維持しながら休むためのエアロポジションってのが、実用可能なものだ。

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今まで試したところだと、感覚的なものだけれど。
100キロくらいの距離なら使う価値がある。
ただ、150を越えると、無理に前傾して速く走って時間を縮めるより、時間を長くしてでも速度を抑えた方が良い。
恐らく、腹筋背筋が足りなくなるラインがそこなのだ。自転車の乗車姿勢を何時間取っていられるか。そこにさらに、前傾のきついポジションをどれだけ入れられるか。

感覚的な所見なので特に信憑性もないけれど。
筋肉の付き方なんかで個人差はあると思う。

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ちなみに、DHバーの取り付けに関しては、賛否両論ある。
けれど、アマチュアのツール・ド・フランスと言われる1200キロブルベPBP(パリーブレストーパリ)では、DHバーは禁止されている。
90時間で1200キロ走るのにDHバーはなくても良いと言うことだ。
ある方が効率が良いのかは不明だが、なくても可能ってのは明確になっている。

結局、DHバーを付けなくちゃならないほど長時間DHポジションは取らないってことなんじゃないかな?
違う次元の話だから分かんない。

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つまるところ、研究の目的は次のあたりになる。

@10時間でどれだけ走れるかってこと。
A10時間を越える場合、いかにダレずに走れる時間を伸ばせるかってこと。

時間があれば、旅乗りをするのが一番楽しい。
ただ、なかなかそういうわけには行かない。
朝の六時から夜の六時。せっかくの長距離だし、時々はのんびりもしたいから、休憩をトータルで二時間用意しといて。ご飯に一時間、十分休憩を六回。
この十時間を完璧にしないと、それより先の世界は厳しい。

以前、20時間走っても、300キロに届かなかったことがある。旅の自転車だからっていう理由もあるけれど、何よりもやっぱり10時間を過ぎたところからほとんどまともに走れなくなった。

10時間以上走る場合は、休憩の取り方なんかも少し変えないといけないのかもしれない。
あと、ナイトランの攻略。

20時間を越えると仮眠の方法を考えないといけない。

PBP(パリーブレストーパリ)に至っては90時間の1200キロ。
まあ、仮眠所なんかも併設されてこそいるけれど、そういう問題じゃないレベルだってこと。

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個人的に、ロングディスタンスのトライアスロンって競技はあまり好きじゃない。
というのも、お金持ちの遊びって側面が強いからだ。
ショートディスタンスは好きだ。

ブルベって競技も好きだ。
何て言うか、ブルベって、その気になれば、一人でできるから。
ブルベってのは、チェックポイントになってるコンビニのレシートを集めて、走行記録として提出するってルールが多いみたいだ。レシートには時間と店舗の名前が入っているから。
レシートさえ集めれば、途中でホテルで眠ろうが自由だ。当選、車に乗るのはダメだけど。
そういうところも好きだ。

つまり、その気になれば、
「来月、福田ブルベ200やりまーす! でも、公式ブルベじゃないんで、よろしくお願いしまーす!」
って言って、ルートとチェックポイントに、時間を決めれば、参加者さえいれば一応は成立するわけだ。

もちろん、実際のちゃんとしたブルベの運営はすごく大変らしいけれど。

でも、完全に自己責任型の参加費ゼロのブルベってのも、あったって良いと思う。
緊急連絡先の携帯ひとつだけ用意してさ。
僕が知らないだけで、そういうのもあるのかな?

一人ブルベができるってのも、ブルベの良いところだ。
一人ブルベの場合、レシートはいらない。全て自己申告、いや、申告する相手もいない。

これなら、平日不定休のあなたもダイジョーブ!!

一応、目安としては、公式ブルベの制限時間を考えると100キロを六時間半くらいになる。
これは休憩時間も仮眠時間も入っている。
面白いのは、600キロなんかの仮眠の必要な場合でも、100キロあたり六時間半ってところだ。

通常のテント泊ツーリングでは、一日100キロ以内が目安になる。
300ブルベが可能になれば、三倍走れるわけだ。
まあ、300キロって数字だけ同じだから、楽しさも同じってわけにはいかないけれど、

旅をやめて、自転車屋で働き始めた僕にできる遊びを考えていこうじゃないか。

ま、そんなこんな。
posted by ちょろり at 21:44| Comment(0) | チャリ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする